今回はシリーズ第2作目。
和菓子屋が舞台のミステリーですが、血みどろ事件は一切なし!
安心して読める、ほっこり系の謎解き物語です。
前作の 『和菓子のアン』 については、こちらの記事で紹介していますので、あわせてどうぞ!
それでは、今回ご紹介する本はこちら。
『アンと青春』(著者:坂木司) です!

こんな人におすすめ!
・甘酸っぱい青春を、もう一度味わいたい人
・人とのつながりに温かさを感じたい人
・爽快な謎解きが好きな人
あらすじと補足
デパ地下の和菓子店「みつ屋」でアルバイトをする主人公・アンちゃん。
働き始めて8ヶ月!
まだまだ失敗もしますが、個性的な先輩や仲間たちに囲まれながら、少しずつ成長していきます。
本作では、店の常連客が抱える小さな謎や、仕事を通して出会う人間模様が描かれます。
和菓子に込められた意味や季節ごとの行事も物語に自然に織り込まれ、読んでいるうちに和菓子の奥深さを知ることができます。
本作は「謎解き」と「お仕事小説」が同時に楽しめる一冊。
登場人物同士のやり取りから、働くことの喜びや人との関わり方の大切さが伝わってくる作品です。
印象に残った場面
▶ 京都へ旅行
アンちゃんが京都へ旅行するシーンがあります。
清水寺周辺のにぎやかな雰囲気や、名店の和菓子の描写を読んでいると、ヤマモトも京都へ行きたくなってしまいました☺️
特に印象的だったのは、アンちゃんの友達が
「ここってマジで歴史上の人物がいたところなんだよね。そういう人たちって、ほとんど架空のイメージだった」
とつぶやく場面。
それに続いて、アンちゃんが
「源氏物語に出てくるお菓子を今でも食べることができて、歴史上の人と同じ味を分かち合える」
と感じる場面です。
千年以上前の人々と「食」を通じてつながれるんだ…と考えると、なんだか胸熱ですね。
▶ 桜井さん
前作にも登場した大学1年生のアルバイト・桜井さん。
サバサバしていて、とてもいいキャラです。
そんな桜井さんが学生結婚したことが、サラッと、
それはもうサラッと書かれていて、大変びっくりしました!!笑
桜井さんの結婚について書かれているページをすっ飛ばしてしまったのかと、最初から読み直して確認してしまいました。笑
少女漫画的な雰囲気の小説なので、登場人物の誰かが結婚するとしたら、結婚式やら何やらの話だけで1話あるだろう…。
せめて一言くらいあるだろうと予想していたので…🤣
▶ 嫁いびりと熨斗
嫌味な嫁いびり婆さんのシーンは、読んでいてなんだか気持ち悪かったです。
せっかくの甘くてきれいな和菓子に、チクチクした嫌味を乗せてくるなんて…性格悪すぎです。
その後の展開も、どこか後味の悪さが残るんですよね。
現実社会でも「そういう人、いるいる…」と妙にリアルに感じてしまって、余計にモヤモヤしました。
一方で、この章では熨斗(のし)の種類や用途について丁寧な解説があり、
「なるほど、そんな違いがあるのか!」と勉強になる部分も。
アンちゃんと一緒にちょっと賢くなれた気がするので、そこはよかったです!
総評
▶ 
読了後は「もう少しiineをつけたいかな」と思う部分もありました。
ただ、嫁いびりのくだりや、「女子だから」「男子だから」と性別に囚われすぎている描写など、どうしても引っかかるところがあったので、最終的にこの評価に。
とはいえ、前作同様においしそうな食べ物の描写はどれも秀逸!
ページをめくるたびに甘い香りが漂ってきそうで、和菓子好きにはたまらない作品でした。