貫井徳郎 🙂🙂🙂🙂

ドミノ倒し / 貫井 徳郎

みなさんは、「えっ、こんなところでまた会う!?」という経験、ありますか?

ヤマモトは数年前に今の職場に転職したのですが、配属された部署で、なんと10年以上前にバイト先の上司だった方と偶然再会したんです。
そのときは思わず「せまっ!」と叫びましたね。

そんなふうに、思いがけないつながりがふと顔を出すとき、人間関係の「濃さ」や「こわさ」を実感するものですが…
今回ご紹介するのは、まさにそんな人間関係の濃さと連鎖の怖さが描かれたミステリー小説。
ドミノ倒し(著:貫井徳郎)です。

あらすじと補足

田舎町で探偵業を営む、十村という男性が主人公。

彼は、元カノの妹から「殺人事件の調査をしてほしい」と依頼されるのですが、
調べていくうちに別の事件との関係が見えてきます。

さらに掘り下げると、また別の事件とも繋がっていて
追えば追うほど、まさにドミノ倒しのように広がっていく… というストーリーです。

印象に残った場面

設定の前情報がない

十村の元カノはすでに亡くなっていて、十村はその元カノを忘れられず、
彼女が育った田舎町に引っ越して探偵業を始めた… という前提があるようなのですが、
物語はいきなり元カノの妹が十村の探偵事務所を訪ねてくるところから始まります。

前情報なしのスタートで、「これ、もしかしてシリーズの続き?」と思うほどの入り方。

調べてみたところ、シリーズものではないようです。
そういう意味では最初ちょっと戸惑いましたが、読み進めるうちに違和感はなくなりました。

恐るべし、田舎ネットワーク

「田舎は人間関係が密」というイメージ、ありますよね。

ご近所から野菜をもらったり、子育ても地域で助け合ったり…
素敵な面もありますが、一方で噂がすぐ広まったり、移住者とは距離を置かれたりと、ちょっと閉鎖的な面もあるような気がします。
(⚠️あくまでヤマモトのイメージです)

この作品では、そういった田舎特有の人間関係がよく描かれているので、注目です。

ブラックユーモアだと思って読むべし

レビューでは「結末がモヤっとする」といった低評価も見られますが、ヤマモトはそうは思いませんでした。

たしかにラストはややぼかされていますし、「このあとどうなるの?」という疑問は残るのですが
最初に依頼された事件の真相は一応明らかになります。

おそらくこの作品は、「生身の人間が一番怖い!という話を、コメディータッチで描いた作品」であって
完全に事件を解決してスッキリ終わらせる話ではないのかな、と思いました。

総評

4 out of 5 stars

貫井徳郎氏の作品は、冤罪事件を題材にした話や、幼女殺人の被害者家族に焦点を当てた話など、ノンフィクションのようなイヤミス系小説が逸品です。

ですが たまにこういったユーモア系? な作品もあって、それはそれでおもしろいと思いますが、
イヤミスを期待して読む人が多かったために、がっかり評価も多めなのかな?と思いました。

みなさんがどう感じるかはわかりませんが、ヤマモト的には、あまりモヤモヤは残りませんでした!