こんにちは!ヤマモトサオリです。
今回は、『カササギ殺人事件(上)』(著者:アンソニー・ホロヴィッツ / 訳:山田蘭)をAudibleで聴いてみたので、その感想をまとめたいと思います。
実は本作、何年か前に紙で一度読んだことがあったのですが、内容をかなり忘れてしまっていたこともあり、今回試しにAudibleで再読(再聴?)してみることにしました。
Audibleは今なら30日間無料体験ができるので、気になった方はこの記事を読みながらぜひ試してみてくださいね!
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こんな人におすすめ!
・クラシカルな英国ミステリが好きな人
・作中作の世界に浸りたい人
・じっくり謎を追いたい人
あらすじと補足
物語は、編集の仕事をしている「わたし」(名前は下巻で明かされます)が、アティカス・ピュントシリーズ第9作『カササギ殺人事件』の原稿を読み始めるところからスタートします。
作中作『カササギ殺人事件』は、地主の屋敷に仕える家政婦が階段から転落死するという、痛ましい事故(事件?)から幕を開けます。
村人たちそれぞれの視点で、故人とのやり取りや葬儀の様子、事故直後の行動や思考が断片的に描かれ、やがて第二の事件が発生。
そこからは私立探偵アティカス・ピュントが登場し、点と点を繋ぎながら真相を追っていきます。
本作は、女性編集者である「わたし」が「アラン・コンウェイという作家が書いた小説」を読む、という二重構造になっていて、作中作のミステリーと、それを取り巻く現実世界のドラマが巧みに交差していきます。
その小説原稿に触れたことで、「わたし」自身の周囲の環境や人間関係が変化していく… その過程も本作の見どころのひとつです。
二重構造とオーディオブックの相性の良さ
そしてこの二重構造、実はオーディオブックととても相性がいいポイントでもあります。
「わたし」パートを務めるのは、『ONE PIECE』のニコ・ロビン役や『新世紀エヴァンゲリオン』の赤木リツコ役でおなじみの山口由里子さん。
作中作パートは、『幽☆遊☆白書』の浦飯幽助役や『テニスの王子様』の亜久津仁役でおなじみの佐々木望さんが担当しています。
本作は作中作の割合が高く登場人物も多いため、聴いていると佐々木さんの一人芝居を聞いているかのような時間が長く続きます。
しかし、それぞれのキャラクターに合わせて声色が見事に演じ分けられていて、すっかり引き込まれてしまいました。
印象に残った場面
> 海外作品特有の「読みづらさ」もAudibleなら気にならない
活字を読むのって、やっぱり「慣れ」が必要だと思います。特に海外作品は少し読みづらいと感じる方も多いのではないでしょうか。
本作は登場人物が多く、登場人物紹介だけでなんと23人。人名も「メアリ・エリザベス・ブラキストン」など長めで、地名も「サクスビー・オン・エイヴォン」といった具合に、地名なのか人名なのかパッと見て判別しづらいこともあります。海外作品を読み慣れていないと、「あれ、この人さっき出てきたっけ?」と何度もページを戻りたくなる場面もあるかと思います。
加えて、日本にはない文化——「村の緑地でクリケットをする」「土葬のための穴を掘る」といった描写や、「お節介な人」を「すべてのパイに指を突っこむ人間」と表現する独特の言い回しもあり、戸惑う方も多いと思います。こうした細部の異文化描写は、慣れないうちは読むスピードを鈍らせる要因にもなりがちです。
こういう「長くて馴染みのない人名・地名が次々出てくる」タイプの海外作品こそ、Audibleの出番だと感じました。目で追うと何度も読み返してしまう名前も、耳で聴けば発音ごとインプットされるので、意外なほどスムーズに頭に入ってきます。語り手・佐々木望さんの表現力も相まって、聴いているうちに自然と馴染んでいきました。人物ごとに声のトーンやテンポが変わるので、名前を覚えていなくても「あ、さっき出てきた牧師さんね」といった具合で耳で判別できるのも、朗読ならではの利点だと感じました。
> 不幸の原因はいつも他人?
登場人物の中には、自身の不幸な境遇について「自分は悪くない」「何もしていないのに」「あいつのせいでこうなった」と、他人を責め続ける人が何人も出てきます。
「いやいや、自分の人生を何とかしようとしなかったのは自分でしょ!」とツッコミたくなる場面もしばしば。
もちろん気の毒な事情もあるのですが、しないまま不幸を嘆く人って、実際いますよね。
> ピュントの最後の一言にすべて持っていかれる
ストーリーが進むにつれ、複雑に絡み合った人間関係や事件の断片が少しずつ繋がっていき、ついにピュントが真相へと迫っていきます。
そして上巻ラスト、ピュントのたった一言で場の空気が一変します。
「えっ!どういうこと!?」と、思わず声が出そうになりました。
それまで積み重ねられてきた重厚なテーマや停滞感が、この一瞬で「早く続きが読みたい」という衝動に塗り替えられる。
まさに、読者の心を自在に転がす仕掛けの巧さに唸らされました。
Audibleで聴いていると、この「空気が変わる瞬間」が、語り手である佐々木望さんの間の取り方や声色の変化で更に際立って感じられて、紙で読んだとき以上にゾクゾクする体験になりました。
このゾクゾク感はぜひ、実際に無料体験で聴いて味わってみてほしいです。
気になった点
一つだけ気になったのは、「ながら聴き」との相性です。
ちょっと考え事をしていたり気がそれたりすると、話を全く聴いていない時間が生まれてしまい、「あれ、なんのこと?」となることが何度かありました。
巻き戻して再生するものの、また気がそれて結局肝心なところをまた聴き逃す、ということも一度や二度ではありませんでした(汗
私はよくYouTubeで「ゆっくり解説」や2ch系のまとめ音声などを作業しながら聴いているので、傾聴力が全くないわけではないと思うのですが、本作のように登場人物が多く名前も覚えにくい海外作品は、耳だけで追うにはやや難易度が高めかもしれません。
慣れないうちは、静かな環境でじっくり聴くほうが安心です。
総評
> 
ポップな装丁とは裏腹に、物語は決して明るくありません。
人間の醜さや保身、本音と建前… そうした「生々しい現実」を、この一冊は容赦なく突きつけてきます。
再読にもかかわらず、あらためて感じたのはストーリーテリングの巧みさです。
序盤のゆるやかな語り口から、ラストの衝撃的な一言に至るまでの流れが、本当に見事でした。
人間の弱さと愚かさ、そしてその中にわずかに潜む希望。
それらが複雑に絡み合い、ページを閉じたあとも長く心に残ります。
上巻のラストで投げかけられた「あの一言」が、いったい何を意味するのか。続きが気になって仕方ありません。
Audibleでは、この静かな語り口から一転する「あの一言」の緊張感が、佐々木望さんの間の取り方で一層引き立って、再読とは思えないほど新鮮な衝撃を味わえました。
文字だと読みづらい海外作品こそ、無料体験で「耳読み」の相性を確かめてみてほしいです。
今回ご紹介した『カササギ殺人事件』も、無料体験の1冊としてそのまま聴けますよ!