みなさんは、「日本三大奇書」をご存じでしょうか?
- ドグラ・マグラ(著:夢野久作)
- 虚無への供物(著:中井英夫)
- そして、今回ご紹介する、黒死館殺人事件(著:小栗虫太郎)です。
ドグラ・マグラが「奇書」と呼ばれるのは、たしかに頷けます。
読む前から構えてしまうような雰囲気がありますし、表紙のインパクトもなかなかのものです。
虚無への供物も、タイトルからして一筋縄ではいかなそうな印象を受けます。
その中で、黒死館殺人事件は、タイトルだけを見るとごく一般的なミステリー小説のように感じられます。
なぜこの作品が「奇書」とされているのか、その理由を知りたくなり、読んでみることにしました!

こんな人におすすめ!
・戦前の探偵小説に興味がある人
・難解な本に挑戦したい人
・重厚で濃密な文体を味わいたい人
あらすじと補足
黒死館の当主・降矢木算哲が自殺し、屋敷では次々と不可解な殺人事件が発生します。
検事・支倉(はぜくら)の依頼を受けて、刑事弁護士の法水(のりみず)が調査に乗り出します。
事件は神秘思想や宗教的象徴と深く結びついていることが判明し、法水は論理と知識をもとに不可解な連続殺人の真相を追っていく…というストーリーです。
雰囲気としては、法水がホームズ、支倉がワトスンといった関係です!
裏表紙には「奇々怪々な殺人事件の謎に、法水麟太郎がエンサイクロペディックな学識を駆使して挑む」と書かれています。
エンサイクロペディック…!
初見ではちょっと構えてしまいますが、要するに「百科事典レベルの知識で謎解くよ!」ということのようです。
わざわざ横文字で書かないでほしい!🤣
印象に残った場面
▶ 昔はアレが簡単に手に入った!?
昭和初期は、今では考えられないようなものが市販されていたそうです。
市販薬としてヒ○ポン(覚○剤)が売っていたというのは有名ですよね。
たとえば本書では、「青酸加里なんて、小学生の昆虫採集箱の中にもある」というセリフが登場します。
調べてみると、当時の昆虫採集セットには本当に青酸カリが入っていた例があるとか…!
時代が違いすぎて、衝撃でした😳
▶ 挿絵の手書き文字がかわいい
作中には、挿絵がいくつか登場します。
例えば、縦長のコマに古代壁画の版画のような絵と、それぞれに名前が手書きで添えられていたりなど。
正直、絵の意味はよくわかりませんが、添えられている手書き文字がどこか愛嬌を感じさせて、記憶に残りました。
本当は挿絵の写真もお見せしたいのですが、著作権の関係でここには載せられないので、気になる人はぜひ本でチェックしてみてくださいね!
▶ 漢字の読ませ方が斜め上すぎる
たとえば、「魁異」という漢字に「グロテスケリ」とルビが振られています。
「グロテスクなりけり」→「グロテスケリ」?といった造語でしょうか…。解釈は難しいですが、妙に印象的です。
また、「超頂点」と書いて「ウルトラ・クライマックス」と読ませる場面もあり、このセンスはとても気に入りました!
総評
▶ 
奇々怪々で難解な、いかにも「奇書」といった作品でした。
根強いファンがいる名作だとは思いますが、私には難しすぎて、まるで外国語の本を読んでいるようでした。
文字を追うだけで精一杯!
しかも500ページ以上あって、ほとんど改行もないので、読むのに2週間以上かかってしまいました。
漫画版も一緒に読めば少しは理解しやすくなるかな?と期待したのですが…正直、漫画を読んでも結局よくわかりませんでした😅
でも絵のおかげで情景はイメージしやすかったので、「とりあえず漫画から読んでみる」というのはアリかもしれません!
漫画版はこちら!