結城真一郎著『#真相をお話しします』の表紙画像

ネタバレ注意 結城真一郎 🙂🙂🙂

#真相をお話しします / 結城 真一郎

みなさんは、長編小説と短編小説、どちらが好きですか?

ヤマモトは…ヤマモトは…どっちも好きです!(結局)

長編は世界にどっぷり浸れるのが魅力ですが、読み始めるときは「これからこの分厚い本を読むぞ!」という覚悟が必要ですよね。笑

短編集はすぐに読み終わってしまって、少し物足りないときもありますが、軽い気持ちで手に取れるのがいいところ。

さて今回は、そんな短編集から一冊。

『真相をお話しします』(著者:結城真一郎) をご紹介します。

ヤマモト

こんな人におすすめ!

・現代的テーマを取り入れたミステリーに興味がある人
・SNS感覚で読める新感覚ミステリーを探している人
・予想を裏切る「どんでん返し」が好きな人

あらすじと補足

全部で5編を収録した、現代ミステリーの短編集です。

それぞれ独立した物語ですが、共通しているのは「日常に潜む違和感」。

一見ありがちな設定から始まり、読者が「こういうオチだろう」と思い込んだ瞬間、見事に裏切られるどんでん返しが用意されています。

学生生活、恋愛、家族、ネット社会など…。
身近なテーマを扱っているので、自分の周囲でも起こりそうだと錯覚するほどリアル。

現代の日本で実際に起こっても不思議ではない。
そんな「身近に潜むゾクゾク感」が楽しめる短編集です。

印象に残った場面

「#拡散希望」という話

全5話のうち、ヤマモトが一番おもしろいと思ったのが、この「#拡散希望」というストーリーです。

短編集なので、今回はこの話にスポットを当てて紹介してみます!

テーマは、なんと!YouTuber

現代の子どもたちが「将来なりたい職業」でよく挙げる「YouTuber」がテーマになっています。

小説の中に「YouTuber」や「iPhone」といった単語が出てきたとき、ヤマモトは少し衝撃を受けました。

もちろん今や当たり前の言葉なんですが、ヤマモトは昭和生まれ。
どちらかというと、昔の小説に出てくる「ポケベル」や「公衆電話」など、レトロな単語を見つけて喜ぶタイプなので、余計に新鮮だったのかもしれません。笑

ちなみに、この短編集には他にも「リモート飲み会」や「マッチングアプリ」といった、現代的なモチーフが登場します。

どれも令和らしさ全開のエピソードです。

キラキラネーム

子どもの名前が「珠穆朗瑪(チョモランマ)」や「口紅(ルージュ)」…。
小説とはいえ、このネーミングはちょっとヤバいでしょ…!と半分引きながら読み進めました。笑

でもご安心を!
こうした名前にも意味があって、ちゃんと繋がっていきます🤫

最後はきっと読み返したくなる

他のストーリーは「こういう展開かな?」と予想しながら読めましたが、「#拡散希望」だけはまったく先が読めず。

序盤はなかなか理解できなくて「若者の話についていけない年寄り状態だわ」と思いながら読み進めましたが、真相がわかった上で読み返すと、伏線がきちんと回収されていてすとんと腑に落ちました。

結末は読者の想像に委ねられる形ですが、まるでYouTubeの視聴者に問いかけているような終わり方で、
「これはこれでアリだな」と思えました。

総評

3 out of 5 stars

本書は発売当初からテレビで紹介されたり、映画化もされ、とても話題になっていました。

読了後は登場人物たちのその後を考えながら、いろいろと想像できて全体的に楽しく読めました。

ストーリーによっては詰めが甘く、不完全燃焼に感じるものもありましたが、前述したとおり「#拡散希望」はおもしろかったです。