山本幸久著『店長がいっぱい』の表紙画像

おすすめ! 山本幸久 🙂🙂🙂🙂🙂

店長がいっぱい / 山本 幸久

みなさん、お仕事は好きですか?
好きなことを仕事にしている方もいれば、生活のために働いている方、今まさにお仕事探し中の方や、学生さんもいらっしゃるかもしれませんね。

ヤマモトはというと、今の仕事が嫌いなわけではないんですが、朝起きて出勤するまでがちょっとだるいです😅

今はどちらかというと体力的に「やれやれ、仕事行くの面倒だな〜」と思う程度ですが、20代の頃は精神的に仕事がしんどくて💦
出勤するふりをしてそのまま快速電車に乗って、冬の海をぼーっと眺めながら1人で泣いたこともありました。

関東で働いていたときには、出勤前に吐き気と涙が止まらなくなったことも…。

仕事は大変なことも多いですが、みんなそれぞれ頑張る理由や、夢や想いがあったりしますよね。

今回ご紹介する作品、『店長がいっぱい』(著者:山本幸久) も、そんな「働く人たちの背景や想い」に焦点を当てた物語です。

こんな人におすすめ!

・笑えて心温まる群像劇が好きな人
・読後にちょっと前向きな気持ちになりたい人
・軽快なテンポの小説を味わいたい人

ヤマモト

あらすじと補足

タイトルも表紙も、かわいいです!
ヤマモトはこの本を見つけたとき、てっきり1軒の飲食店に店長がいっぱいいて、コメディタッチの「世にも奇妙な物語」的なストーリーだと思っていましたが、全然違いました。笑

舞台は「友々屋(ゆうゆうや)」という全国展開のファミレスチェーン。
そこで働く店長たち1人ひとりにスポットを当てた、連作短編のような構成です。

家族のために働く人、夢を追う人、過去の挫折から立ち直ろうとする人。

それぞれが悩みや想いを抱えながら、日々の仕事と向き合う姿が描かれていて、チェーン店の店長という枠を超えた、リアルな人間ドラマに引き込まれます。

印象に残った場面

みんな何かしらの悩みや傷を背負って生きている

事業に失敗して家族を養うために店長を続ける男性や、自分の店を持つ夢のために懸命に働く女性など、それぞれの背景はなかなか現実的でシビアです。

「店長」という肩書きの裏には、明るい笑顔だけではなく、生活のための苦悩や未来への葛藤が隠れているのだと感じさせられました。

それでも、彼らが必死に前を向こうとする姿に、読んでいるこちらも励まされます。そして泣けます!

それぞれの店長のストーリーが一部繋がっている

基本的には1話完結の短編集のような構成ですが、読み進めていくと、それぞれの話が少しずつ繋がっていることに気づきます。

たとえば、〇〇店の店長の話に出てきた謎のおじちゃんが、別のエピソードで「この人だったのか!」とわかるシーンがあったり。
△△店の店長が出した企画が、あとから登場する□□店のエピソードで順調に進んでいる様子が描かれていたり。

最初は「あれ、ちょっと物足りないかも?」と感じた話も、後のストーリーで思わぬ形で繋がってくるので、だんだん登場人物たちが身近に感じられてきます。

読んでいくうちに、「この店長、ちゃんと前に進んでるんだなあ…」と、自然と応援したくなるような、あたたかい気持ちになりました。

友々屋のCMソングが不気味

いい話なのに、CMソングが不気味すぎる件。

友達以上になぁりたいわぁ
なぁれるかしぃらぁ なれるわよぉぉ
ユゥウウユゥウウユゥウウユゥウウ
ユウウゥユウゥウユウウゥユウゥウ
友々屋アァアアァア

怖い怖い😂

総評

5 out of 5 stars

ネットのレビューでは「オチがない」といった低評価も見かけました。

たしかに、奇想天外などんでん返しや、スパッと切れるような結末を期待して読むと、そう感じるかもしれません。

ですが、前述のとおりエピソード同士が緩やかにつながっていて、物語全体でひとつの世界を形づくっているので「オチがない」とは思いませんでした。

むしろ、この独特の構成や、登場人物たちの人間臭さを通して描かれる「人生の断片」こそが魅力です。

読後にはじんわりと余韻が残り、「今まで読んだどの本とも違うな」と強く感じました。

心に残る一冊。
ヤマモト的に自信を持っておすすめします!