たまには後味の悪い本も紹介したいと思います。
今回取り上げるのは、世界的に有名な問題作。
『時計じかけのオレンジ』(著者:アントニイ・バージェス / 訳:乾信一郎) です。
タイトルはおしゃれでハイカラなのに、中身は暴力的な描写のオンパレード。
若者たちの無軌道で残酷な行為が次々と描かれていきます。
これでもか!というくらいに暴力描写が多い。笑
スタンリー・キューブリック監督によって映画化もされた作品なので、名前は知っているという人も多いかもしれませんね。
文学史的にも「読むと後味の悪さが残る本」の代表格といえるでしょう。
そんな胸糞な本をあえて読みたい日には、ぴったりの一冊かもしれません!

こんな人におすすめ!
・暴力と自由をめぐる衝撃作を読みたい人
・後味の悪い読書体験をあえて楽しみたい人
・登場人物に共感できなくてもOK!という人
あらすじと補足
主人公は15歳の少年アレックス。
仲間とつるんで、盗みや暴行、さらには殺人までを楽しげに繰り返すという、なかなかにショッキングなストーリーです。
やがて逮捕された彼は、国の更生プログラムの実験台に。
「暴力をしたくてもできない体」にされてしまうのですが、それは本当に更生と呼べるのか…?というのが本作のテーマです。
前述しましたが、本作はスタンリー・キューブリック監督によって映画化されており、
日本ではなんと小栗旬さん主演で舞台化もされています。
映画は原作よりマイルドだといわれますが、それでもけっこう過激なシーンがあるのでご注意を⚠️
印象に残った場面
▶ 何の罪もない老人をフルボッコ
読み始めた日。
ヤマモトは、ちょうど仕事で残念な出来事があり気分が沈んでいたのですが、いきなり暴力シーンが登場して、このタイミングで読み始めたことを少し後悔しました😇
ただ、この冒頭の衝撃があるからこそ、
「ここからどんな話になるんだろう」と一気に物語に引き込まれるきっかけにもなったと思います。
暴力があまりに突拍子もなく描かれることで、主人公たちの異常さが際立つ。
そして「無軌道な若者」というテーマを最初から突きつけてくる、忘れがたい場面でした。
▶ 不思議な言葉遣い
本作にはちょっと変わった単語がたくさん登場します。
ルー大柴さんの「トゥギャザーしようぜ」風の話し方を、ロシア語に寄せたような感じ…
そんな印象で読み進めていました。
これは「ナッドサット」と呼ばれる若者たちの人工言語で、ロシア語の影響を強く受けた英語なのだそうです。
日本でいうところのギャル語やネットスラングのようなもの、と考えるとわかりやすいかもしれません。
最初は読みづらく感じますが、物語の世界観を強調する役割を果たしていると感じました。
▶ 普通の文庫本より少し大きめ
普通の文庫本より何ミリか大きい気がして「ん?」と思ったら、やっぱりハヤカワ文庫さんでした。
ハヤカワ文庫さんちょっとサイズが大きいんですよね。なんでですかね?笑
何も考えずに数冊まとめ買いして、いざ愛用のブックカバーをつけようとしたら入らない!
これをヤマモトは「ハヤカワトラップ」と呼んでいます。
お気に入りのブックカバーをお持ちの方は、ちょっと注意してくださいね📚
総評
▶ 
本作では、若者たちが老人や女性に暴行を加えたり殺したりします。
しかも語り手はその当人である主人公アレックス。反省の色はまったくありません。
ここからはネタバレになりますが、主人公アレックスは逮捕されます。
でも一緒に悪事を働いていた仲間たちは捕まらず、むしろ警官になったり結婚したりと、それぞれの人生を歩んでいきます。
ヤマモトは、アレックスの横暴さよりも、この仲間たちの行く末の方が不快に感じました。
現代日本でも、殺人や性犯罪といった重大な罪を犯したにもかかわらず、軽い刑罰で出所してのうのうと生きている人がいる。
そんな現実を思い出させる部分もあり、読んでいてやるせない気持ちになりました。
問題作としての価値は理解できますが、暴力描写があまりに多くて正直つらい読書体験でした💦
自分のメンタルが落ちているときは、読むの注意です!