おすすめ! 飯塚訓 🙂🙂🙂🙂🙂

墜落遺体 御巣鷹山の日航機123便 / 飯塚 訓

みなさん、飛行機は好きですか?

ヤマモトは見るのも乗るのも好きですが、今回はそんな飛行機の痛ましい事故のノンフィクション。

墜落遺体 御巣鷹山の日航機123便( 著者:飯塚訓 )です。

どんな話?

1985年8月12日に起きた日航機123便の墜落事故。

本作は 乗客全員の身元が確認されるまでの127日間を記録したノンフィクション作品 です。

作者の飯塚氏は、当時、遺体の身元確認の責任者として最前線で捜査にあたっていた元警察官 だそうです。

本作を読めば、これは悲惨な現場を生で見てきた人間にしか書けない文章だ と、感じることができると思います。

印象に残った場面

目次について

目次が細かく、なんと目次だけで7ページもあります。

「 完全遺体、離断遺体 」「 極度の悲しみが充満 」「 体に染みこむ臭い 」など、これ全部目次のタイトルです。

目次を見ているだけで壮絶な情景だったと推察できますね。

遺体の状態について

遺体の損傷が激しい様子がかなり詳しく書かれています。

「 頭の中に他の人の頭がめり込んでいる 」「 頭部のない遺体の首のあたりにまとまっている皮を伸ばしてみると男性の顔だった 」など、特異な遺体の描写もあります。

「土の中から臍の緒のついた嬰児が見つかり、事故の際に妊婦さんのお腹から飛び出た・・・ 」という記述があり、悲しくなりました。

家族の変わり果てた姿と対面する場面や、墜落する飛行機の中で自分の死を悟った男性が家族へメッセージを残した場面は、とても耐えきれず涙が出ました。

死後、身体はどうなる?

遺体に群がる蛆のことも、すごく細かく書いてあるのでゾワゾワ((((;゚Д゚))))

遺体はメタンガスの発生で膨らみ、土気色から紫、黒へと変化・・・ という記述があり、九相図を思い出しました。

※ 九相図:屋外にうち捨てられた死体が朽ちていく様子を九段階に分けて描いた、昔の絵。

自分も死んで時間が経つとそうなるのかな。なんだか想像できないな。なんて思いながら読んでいました。

「 子ども 」

飯塚氏が「 子供 」と書かず、「 子ども 」と書いているところが気に入りました。

「 供 」という字は「 供養 」や「 供え物 」といった言葉にも使われる字なので・・・

この飛行機事故では多くの子どもたちも命を落としています。

なんとなく漢字ひとつにも飯塚氏の気配りが見えるような気がして、良いなぁと思いました。

総評

5 out of 5 stars

本書は飯塚氏の視点で書かれていますが、警察のことだけではなくて、医者や看護師( 当時は看護婦 )たちの努力、ボランティアたちの頑張り、悲しみに暮れる遺族たちの様子など、とてもよく書かれていると思います。

目を背けたくなるような痛ましい描写が多いですが、実際に起きた出来事です。

チームワーク、尊厳、情熱、命の尊さ・・・

ひとつひとつの場面に寄り添うような表現で、丁寧に書かれているので大変おすすめです。

ぜひ多くの方に読んでもらいたいです。