みなさんは、 地下鉄サリン事件 をご存じですか?
この事件が起こったのは1995年( 平成7年 )・・・
当時はまだ生まれていなかったという方も多いですよね。
ヤマモトはまだ幼かったので当時のことはあまり覚えていませんが、ものすごいニュースになっていたという記憶があります。
というわけで、今回ご紹介する本はこちら。
アンダーグラウンド( 著者:村上春樹 )です。
どんな話?
地下鉄サリン事件の被害者 62人にインタビューした ノンフィクション作品 です。
ヤマモトは 村上春樹氏がノンフィクションも書いているとは知らなかったので、この本の存在を知ったときは驚きました。⠀
印象に残った場面
▶ 被害者たちの事件当日の行動
- いつもは地下鉄には乗らないのに、その日に限って地下鉄に乗っていて事件に遭った
- いつもは同じ時間の同じ扉から乗っているが、たまたまその日はいつもと違う扉から乗ったので軽傷で済んだ
- 駅へ向かうバスが遅れていて、いつもよりも一本遅い電車に乗ったため事件に巻き込まれた
⠀・・・というような、良くも悪くも いつもと違う行動をしていた という人が多かったのが印象的でした。⠀
▶ 時代
当時はまだPTSD( 心的外傷後ストレス障害 )やパワハラの理解が低い時代でしたが、そのことが文中からも伺えます。
事件に巻き込まれて大変な経験をしたあとなのに、残業するのは当たり前。
体調悪くても倒れるほどでなければ働くのが当たり前。
自分の意思でそうすることが当たり前。
つらくても責任感で出社するのが当たり前。・・・という人が多かったようです。
( 今でもそういう考えは根強く残っているけど )
事件当日も、体調が悪い状態なのに「 とにかく仕事に行かなければ!」という考えの人が大半を占めていて、「 会社どころではないと諦めた」という人は少数でした。
▶ 人によって違う? サリンのにおい
サリンのにおいに関しては 本当にさまざまな声がありました。
無臭だったという人。
シンナーの臭いがしたという人と、シンナーの臭いではなかったという人。
ドブネズミのような臭いがしたという人。
甘い匂いがしたという人もいたそうです。
なぜ こんなに感じ方がバラバラなのかについては、本書では触れられていません。
▶ 被害者の気持ち
被害に遭った方々は、オウムに対して怒りの感情を持っていて当たり前だと思っていたし、もちろん本書でもオウムに強い怒りを持っていると話している人は多いです。
でも意外にも「 それほど怒りはない 」「 やったことは許せることではないけど、自分はよくわからない 」「 とくに憎んではいない 」という人も多いようです。⠀
こういった点から、全てにおいて本当に異様な事件だと思いました。⠀
総評
▶ 
本書は1997年3月20日( 地下鉄サリン事件からちょうど2年後 )に刊行された本なので、今から20年以上も前ということになります。
このインタビューに答えている方々の《 今 》が気になります。
重度の後遺症を負った明石さんは回復したんだろうかとか、定年後は鹿児島で妻と余生を過ごしたいと言っていた橋中さんは鹿児島で暮らしているんだろうかとか、自分が生きているうちに麻原を死刑にしてほしいと言っていた当時65歳の石倉さんはご健在なのかとか。⠀