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本 真保裕一 🙂🙂🙂

【文庫本で読んでみた】ダイスをころがせ!(下)/ 真保 裕一

こんにちは!ヤマモトサオリです。

みなさんは、選挙に行っていますか?
私は、せっかくの権利なので、できるだけ行くようにしています。

けれど正直なところ、投票したからといって物価高に歯止めがかかるわけでもなく、生活が目に見えて良くなったと感じたことは、あまりありません。
当選した人の不祥事が明らかになると、自分が投票した人かどうかに関係なく、いろいろな意味でがっかりしてしまいますよね。

「1票を入れても、何も変わらないのでは?」
そんなもやもやを抱えながら読んだのが、今回ご紹介する『ダイスをころがせ!(下)』(著者:真保裕一)です。

上巻の記事はこちらです。まだの方は、ぜひあわせてご覧ください。。

上巻では、お金もコネもない天知たちが、無所属で衆議院選挙に挑む準備を進めてきました。
リアルで引き込まれる展開に、先を読みたくなった方も多いのではないでしょうか。

選挙戦の行方とともに、人間模様もさらにヒートアップ!
物語はついに後半戦へ突入します。

こんな人におすすめ!

・政治の裏にある人間ドラマに興味がある人
・主人公の不器用な奮闘を最後まで応援したい人
・決断や覚悟を描いた物語が好きな人

あらすじと補足

下巻では、天知たちの選挙戦がいよいよクライマックスを迎えます。

仲間の力を借りて、素人ばかりの選挙戦が本格的にスタート。
駒井は妻子と別居で選挙に打ち込み、天知には、かつて知事を務めていた祖父の疑惑が浮上します。
事務所が荒らされたり、陣営の情報がライバルに漏れたりと、トラブルも次々に降りかかります。

支援者やライバル陣営との駆け引き、資金集めの苦労、街頭での活動の臨場感がリアルに描かれ、読んでいて思わず引き込まれます。

人間関係のもつれや、家庭内の不協和音を感じる場面もありますが、その不器用さがかえってドラマを深めているのも印象的です。

なお、単行本が出た2002年当時と現在とでは、政治資金に関するルールや選挙制度に違いがあります。
制度の変化を踏まえると「今ならこうはならない」と思う部分もありますが、むしろ当時の空気感が際立ち、物語をよりリアルに感じさせてくれます。

印象に残った場面

選挙の裏で揺れる家庭問題

駒井の妻・美緒は、娘の幼稚園受験に夢中になっています。
けれど、その熱心さゆえに、肝心の娘の気持ちが置き去りになっているように見えて、もどかしくなりました。

子どもにとって大切なのは合格ではなく、安心して過ごせる毎日のはず。
それなのに、美緒の言動からは「親の理想」ばかりが先に立っているように感じられます。

身近にもありそうな姿に、思わず考えさせられる場面でした。

政治家のイメージ

私はこれまで、駅前の演説も選挙カーの声も、マイクの音割れがひどくて何を言っているのか分からず、ただやかましいだけだと思っていました。

さらに、立候補する人たちには「当選がゴール」というイメージが強く、どこか本気度を感じられなかったのです。

けれど、この物語を読んでいて、本当に政治を変えたいと心から願って全力で取り組む人もいるといいなと思いました。
天知達彦の姿はまさにその象徴で、「こういう政治家が現実にもいてほしい」と願わずにはいられませんでした。

選挙の声が雑音にしか聞こえなかった自分が、今は少し違う目で見てみようと思えている。
そんな小さな変化が、この本を読んで得た一番大きな気づきなのかもしれません。

真面目な人ほど足を引っ張られる

天知の人気が高まるにつれ、それを脅威に感じた陣営から、嫌がらせを受けるようになります。

現実にはそんな人はいないと思いたいところです。
けれど、政治の世界には、自分たちさえ豊かであればいいと考える人も少なくないのでは… と感じてしまうのが正直なところです。

自分たちの利益を守りたい人たちにとって、天知のような真面目な人物は、立場を脅かす存在なのかもしれません。
だからこそ、なんとかして蹴落とそうとする。

大人の世界でさえ、自分の立場を守るために誰かの足を引っ張る人がいる。
そう考えると、学校や職場からいじめがなくならないのも、根っこは同じなのかもしれないと思えてしまいました。

家庭や恋愛のゴタゴタは好みが分かれる

最後まで読んでも、妻・美緒や、同級生のマキとサキには、どうしても好感を持てませんでした。
これは、私自身がもともと家庭や恋愛のゴタゴタを扱う物語があまり得意ではないからだと思います。

マキとサキは、駒井たちの高校時代の同級生で、選挙を手伝う仲間です。

選挙の話だけで十分に面白いので、夫婦関係の不和や、過去の恋愛の蒸し返しによるギクシャクといった要素は、正直なくてもよかったのでは… と感じました。

主人公の駒井にしても、妻と娘がいるのに、高校時代の恋愛をいつまでも引きずっているところがあり、モヤモヤしました。

もっとも、そうした等身大の弱さや葛藤があるからこそ、物語に厚みが出ているとも言えます。
けれど私にとっては、選挙戦だけに焦点を当ててくれたほうが、より楽しめたように思いました。

総評

3 out of 5 stars

お受験問題、家庭や恋愛のゴタゴタに加え、後半には土地の買収問題まで絡み、テーマが広がりすぎて頭に入ってきにくい部分がありました。

しかもラストは読者の解釈に委ねる形で締めくくられているため、「終わり方が微妙」という声があるのも納得です。

選挙戦を中心に描いた前半の熱量が面白かっただけに、後半の散漫さと結末の弱さは少し残念でした。
総合的には楽しめたものの、期待していたほどの満足感には届かなかった… そんな印象です。

とはいえ、選挙に出馬することの大変さや、1票の重み、そして政治の不透明な部分をクリアにしてくれる描写には読みどころがありました。
そうした点は本作の大きな魅力なので、読んでよかったと思いました!

選挙に行ったことがない人にこそ、上巻とあわせて手に取ってほしい一冊です。

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ヤマモトサオリ

こんにちは!books and iinedaysの管理人、ヤマモトサオリです。
餃子とカツカレーとラーメンが好きです。よろしくお願いします。