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Audible 本 真梨幸子 🙂🙂🙂🙂

【Audibleで聴いてみた】殺人鬼フジコの衝動 / 真梨 幸子

こんにちは!ヤマモトサオリです。

みなさんは、フィクションとノンフィクション、どちらが好きですか?

私は実はノンフィクション派で、実際にあった事件のルポなどに強く惹かれます。
でも、不謹慎かもしれないと思うと、「おもしろい」とは素直に言いにくいところもあります。
その点、リアリティのあるフィクションなら創作なので、感想も言いやすいですよね。

というわけで今回ご紹介するのは、ノンフィクションのようなフィクション作品、『殺人鬼フジコの衝動』(著者:真梨幸子) です。

今回もAudibleで聴いてみたので、その感想を書いていきます。
ナレーターは声優の和優希さん、Audible版の再生時間は9時間56分です。
無料体験やお得なキャンペーンをやっている場合もあるので、耳で読書したい方はぜひ。

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こんな人におすすめ!

・心理描写が濃い!サスペンス小説が好きな人
・犯罪の背景や人間の闇に興味がある人
・グロテスクな表現、アダルト描写が平気な人

あらすじと補足

主人公・森沢藤子は、未解決事件として語り継がれる「高津区一家惨殺事件」の唯一の生き残りです。
物語では、その後の人生で彼女がどのように「殺人鬼フジコ」へと変わっていくのかが描かれています。

本作は、読んだあとに嫌な気持ちが残るミステリー、いわゆる「イヤミス」の代表作の一つです。
文庫化をきっかけに話題となり、50万部を超えるベストセラーになりました。
2015年には、尾野真千子さん主演のHuluオリジナルドラマ『フジコ』として映像化もされています。

物語は「この小説は、ある女の一生を描いたものである」という一文から始まり、フジコを知るある人物が遺した記録小説という形で進んでいきます。
淡々としているのに、妙に生々しい。
そんな独特の語り口が、不気味さをいっそう際立たせています。

なお、性的な描写や、人間をミンチにするような残酷な描写も含まれているため、そうした表現が苦手な方はご注意ください。
ただ、その生々しさこそが作品の迫力を生み、聴き終えたあとには重い余韻が残ります。

印象に残った場面

実際の話かと錯覚してしまうほどリアル

「殺人鬼フジコ」と呼ばれる女性の生き様があまりにもリアルに描かれていて、思わず「これって本当にフィクション? 実際にあった事件なのでは?」と調べてしまいました。

事件名や被害者の名前で検索してみたものの、それらしい実在の事件は見つからず、あらためて「これは創作なんだ」と気づかされたほどです。

すべてフィクションなのですが、描写の細かさや心理の掘り下げ方が生々しく、まるで実在した人物の手記や、事件の記録を読んでいるような感覚になりました。
最後まで「これは本当にあった話なのでは」と思わせる作りになっています。

心理描写がすごくリアル

グループのボスに逆らえない空気、仲間はずれにされるかもしれないという不安、そして陰湿なイジメ。
そうした描写があまりにリアルで、聴いていて苦しくなりました。

私は高校生でアルバイトを始めてから、一人で外食したり行動したりする機会が増え、「一人で食べている人も意外と多いし、全然恥ずかしくないんだ」と気づきました。
社会人になってから、「一人でごはんなんて絶対無理」「一人でマックにも行けない」と話す40代の方に出会ったこともありますが、少なくとも私の周りでは、無理に誰かと一緒にいようとする大人はそう多くない、というのが実感です。

大人になった今でこそ「一人でいる方がラク」と思えるようになりましたが、子どもの頃は「輪に入れない=死活問題」でした。
フジコが必死にグループにしがみつく姿は、まさにその頃の自分と重なります。
今の記憶を持ったまま過去に戻れるなら、ボス格の女子なんて怖くないし、お昼も一人でゆっくり食べたいです。

無関心で配慮がない大人たち

小学生時代の描写は、聴いていて本当につらいものでした。
ネグレクトする親、頼りない担任、性的なイジメをするクラスメイトの男子。

小学5年生になっても下着を買ってもらえず、低学年の妹と体操着やリコーダー、習字道具まですべて共有。
「ひとつあれば十分だろう」と用意してくれない親に対して、なぜ子どもを2人も持ったのだろうと疑問に思ってしまいます。

イジメも本当にひどく、標的は主人公だけではありません。
Yさんはクラスメイトの前で男子に服をめくり上げられ、ブラジャーを外されるという辱めを受け、自ら命を絶ってしまいます。
不登校になったYさんを親は無理やり学校に連れてくるし、先生も「学校をサボるな」と言うだけで、誰もその原因に向き合おうとしません。

フジコが転校したときも、先生はみんなの前で「とてもひどい事件に巻き込まれて、家族を亡くされた可哀想な子よ。仲良くしてあげなさいね」と紹介します。
配慮がまったくなく、まともな大人が出てこないことに悲しくなりました。

唯一の救いは、フジコを引き取った叔母一家です。
叔母はカルト宗教に傾倒していますが、フジコを本当の娘のように大切に育てている姿が印象的でした。

昔の自分と重ねて

私も、母から人格を否定するような言葉を投げつけられたり、「お前に人権はない」と言われたり、癇癪を起こした母に掃除機で殴られたりしたことがあります。

つらい記憶ではありますが、食べるものに困ったことはありませんでしたし、習い事もさせてもらい、誕生日やクリスマスにはケーキやプレゼントも用意してもらっていました。
フジコが実母から受けていた仕打ちに比べれば、とても恵まれた環境だったのだろうと思います。

それでも、大人になってからも心をえぐられるような言葉をたびたび投げかけられました。
傷ついたことを伝えたときには「そんなことで傷つくなんて、あんたは異常」「頭おかしいね」と返され、この傷はきっと一生治らないのだろうと感じています。

フジコが小学校を卒業してからも、聴いていて苦しい場面が続きました。
特に、彼女の考え方には若い頃の自分と重なる部分が多く、心が痛みました。

ダメな男性に依存してしまうところ。
違和感にうすうす気づいているのに「きっと〇〇ということだろう」と自分に言い聞かせて、都合の悪いことを飲み込んでしまうところ。
かと思えば、何の根拠もないのに「きっと〇〇に違いない」と、一人で悪い方向に結論づけてしまうところ。
そうした危うさや視野の狭さに、私自身も心当たりがありすぎて、切なくなりました。

総評

4 out of 5 stars

ストーリーは重く、性的な描写や残酷な描写も多いので、好みはかなり分かれると思います。
聴いていて苦しくなる場面も多く、自分の古い記憶やトラウマが掘り起こされるような感覚もありました。

重さや苦しさについても正直に書きましたが、それでも満足度が高かったのは、私がノンフィクション好きだからだと思います。
とてもリアルでおもしろかった、これに尽きます。

ずっしり重い作品ですが、「人はどうやって殺人鬼になってしまうのか」を、フジコの子ども時代から丁寧にたどれる一冊です。
ドキュメンタリーや事件ルポが好きな方、イヤミスに挑戦してみたい方は、ぜひ最後の一行まで見届けてみてください。

「殺人鬼フジコ」シリーズには続編も出ているので、そちらもまた別の記事で紹介したいと思います。

🎧️ Audibleで聴いた感想

今回はAudibleで聴きましたが、この重い物語を支えているのが、ナレーターの和優希さんです。
その演技がとにかく見事で、どんどん引き込まれていきます。

小学校のボス格の女子の声は性格の悪さがにじみ出ているし、自分に自信がなさそうなフジコのオドオドした話し方も、聴いていてイライラするほど再現度が高いです。
ただ、外でイヤホンをして聴いているときに性的な場面に差しかかると、音漏れしていないかと慌てて音量を下げることもありました(汗)

登場人物が多く、細かなエピソードが積み重なっていく作品なので、ながら聴きだと途中で話についていけなくなるかもしれません。
特に後半からあとがきにかけては、集中して聴ける時間に聴くのがおすすめです。

この作品の前に聴いていた『ガダラの豚』(著者:中島らも)は、グロテスクな描写がありながらも痛快なエンタメ小説という印象で、何度聴き返しても重さは感じませんでした。
それに比べると本作はとても重く、正直、2周目を聴く気にはなれないと思っていました。
でも、やっぱり聴き逃したところもあって、後半のどんでん返しについていけなくなってしまい… 結局、2周目を聴きながらこの感想を書いています(笑)

登場人物の声がそれぞれ演じ分けられているので、文字で読むよりも物語の世界に入り込みやすいと感じました。
無料やキャンペーンで試せる場合もあるので、気になる方はぜひチェックしてみてください。

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  • この記事を書いた人

ヤマモトサオリ

こんにちは!books and iinedaysの管理人、ヤマモトサオリです。
餃子とカツカレーとラーメンが好きです。よろしくお願いします。